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なんとなくしんどい恋愛が続く理由を知りたい夜に見る結婚フィーリング無料診断

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本命になれない気がする夜にそっと見てしまう結婚相性チェックと出会い方の違和感


夜の十時を少し過ぎたころ、コンビニのビニール袋が手首に食い込む感じだけが妙に生々しくて、帰り道のアスファルトは昼のぬるさをまだ少し残していた。
春なのに風は思ったより冷たくなくて、でも気持ちだけはなぜか薄着のまま外に出たみたいに落ち着かなかった。
レジ横でつい買ったカフェラテは、部屋に着くころにはもうぬるくて、玄関で靴を脱いだ瞬間、きれいに並べる気力もないまま片方だけ変な向きで止まった。こういうとき、自分の疲れって、姿勢より先に靴に出る気がする。

スマホにはマッチングアプリの通知が一件だけ来ていて、名前を見ても、うれしいのか面倒なのか自分でもよくわからなかった。
返信を迷うような相手とばかり、なぜかちゃんと会話が続く。
会いたいと思った人には既読だけが増えていく。
そういうのを何度か繰り返すうちに、恋愛って相性より、タイミングより、自分の感じ方そのものに問題があるんじゃないかと思う夜がある。

テーブルの上には、朝つけたままのアクセサリーと、開けっぱなしのリップと、昨日の通販の段ボール。
ちゃんとして見える部屋じゃない。
ちゃんとして見える私も、たぶん今ここにはいない。

ぼんやりスマホを見ていたら、ラポールアンカーの「結婚フィーリングテスト」という文字が目に入った。
無料診断、オンライン、結婚相手候補のシミュレーション。
そういう言葉に反応する自分が、少しだけ恥ずかしい。
でも、その恥ずかしさの中に、ちゃんと期待も混ざっているのが、もっと恥ずかしかった。
占いじゃないです、ちゃんと見てくれます、みたいな顔をした診断って、夜の弱った気持ちにちょうど入り込んでくる。
これで全部わかるなんて思ってないのに、それでも試したくなるのは、たぶん「私の何がずれてるのか」を、自分以外の何かに言葉にしてほしいからなんだと思う。

質問に答えるだけで、自分に合った婚活の形が見えてくるらしい。
恋愛が向いているのか、紹介がいいのか、もっと違う出会い方があるのか。
そういう文章を読みながら、私は前に友達に言われた一言を思い出していた。

「サクラックって、ちゃんとしてるから、逆に隙がないのかもね」

あのときは笑って流した。
そんなわけないじゃん、家では床に座ってカップ麺食べてるし、洗濯物もたまるし、お風呂入る前に一時間スマホ見るし、って。
でも、あとからじわっと残った。
隙がない、って褒め言葉みたいで、たまに“入り込む余地がない”って言われてるみたいに聞こえる。
ちゃんとしてる、も、言われすぎると少し苦しい。
私はちゃんとしていたいわけじゃなくて、ちゃんとしてないと不安なだけなのに、外から見るとそれが性格みたいに固定されてしまう。

この前、Instagramで同い年くらいの女の子が、婚約指輪の写真を上げていた。
白いシーツの上に左手だけが置かれていて、指先まできれいに整っていて、コメント欄にはおめでとうが並んでいた。
その写真を見たとき、祝福より先に、すごく小さい、でもちゃんと濁った感情が胸の奥に沈んだ。
うわ、今ちょっと嫌な女だった、と思ってすぐ画面を閉じたけど、閉じたから消えるわけでもなかった。

選ばれたことへの嫉妬なのか、進んでいく誰かへの焦りなのか、自分でも名前がつけにくい気持ち。
私はこういうとき、気持ちを分析しすぎて、余計に動けなくなる。
なんで羨ましいんだろう、何が足りないんだろう、私って本命になれないタイプなんだろうか、って。
考えたからといって何か変わるわけでもないのに、深夜の頭はそういう無駄なことだけは器用にできる。

結婚フィーリングテストのページを見ていて、少しだけ救われる感じがしたのは、正解を突きつけられるというより、“今の自分のままでも、一回見てもらえる”みたいな空気があったからかもしれない。
頑張りが足りないとか、もっと愛想よくとか、もっと前向きにとか、そういう励ましじゃないものに、私はわりと弱い。
もう十分、世の中にはちゃんとしたアドバイスが多すぎる。
それなのに夜になると、私はコンビニのスイーツを食べながら恋愛コラムを読んで、わかったような顔で落ち込む。
あるあるすぎて笑えるし、でも本人はそんなに笑えない。

診断って、本当は少し怖い。
自分のことを知らされるからじゃなくて、自分がうすうす気づいていたことを、別の言葉でなぞられる感じがするから。
向いている婚活方法とか、相性のいい相手とか、そういう結果を知ったところで、明日いきなり人生が動くわけじゃない。
たぶん私は、明日も仕事で愛想よくして、帰りにコンビニに寄って、アプリの通知を見て、返そうか迷う。
それでも、今までと少し違う角度から自分を見るきっかけがあるだけで、夜の沈み方がちょっとだけ変わることはあるのかもしれない。

私が知りたいのは、結婚できるかどうか、という大きすぎる話だけじゃなくて、どうして私は会いたい人の前で少し固くなるのか、とか、どうして好かれようとすると急に自分が雑になるのか、とか、そのへんの、もっと小さいことなんだと思う。
誰にも見せない弱さって、たいていすごく地味だ。
返信ひとつで落ち込むとか、プロフィール写真を変えただけで少し期待するとか、友達の幸せ報告を見たあとに、鏡の前で急に保湿をがんばるとか。
そういう小さくて言いにくいことが、ほんとの自分にいちばん近い気がする。

こういうの、私だけなんだろうか。
ちゃんとして見える人ほど、夜に変な検索ばかりしてしまうのは。
選ばれたいのに、選ばれたい顔をするのが苦手なのは。
結婚したいのか、安心したいのか、その違いも曖昧なまま、とりあえず今日を片づけるみたいに眠ろうとするのは。

診断ひとつで何かが片づくとは思っていない。
でも、自分の気持ちの輪郭が少しだけ見える夜なら、それはそれで悪くないのかもしれなかった。

気づけば、ぬるくなったカフェラテの氷が、やっとひとつ溶けていた。
また、明日になれば少し違う気持ちで見返すのかもしれない。


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